国際ブランドとしての
インバウンド戦略
Webサイト「Hello! Japan」
の誕生

イシュア・アクワイアラとともに国際ブランドとしての顔を持つJCB。急増する海外会員に対して、
JCBではいかに魅力ある日本のコンテンツを提示し、訪日促進とカード利用の活性化を図るかが大きな使命のひとつとなっている。
その一方で、日本を訪れる外国人も急増。2017年には2,000万人を突破した。
現在、JCBにとってインバウンド(訪日外国人)への取り組みは、国際ブランドとしての地位を確固たるものにするためにも、
最重要任務のひとつでもある。今回のWebサイト「Hello! Japan」の立ち上げプロジェクトは、
インバウンド向け施策の柱とすべく、メンバーたちの頭脳が結集して進められた。

王 懿Yi Wang

2006年入社
ブランドマーケティング部

所属部署・役職は取材当時のものです

インバウンド増加の
好機を逃すな!
施策強化プロジェクトの
スタート

現在、JCBの海外会員の9割以上を占める台湾、韓国、中国。この3ヵ国は日本を訪れる観光客の国籍トップ3でもあり、海外会員の増加とも連動している。インバウンド施策は、ブランドマーケティング部にとっても差し迫って重要な課題となっていた。
2014年、本格的な強化策に着手、インバウンド向け施策強化プロジェクトがスタートした。
そのメンバーのひとりが、入社10年目の王である。王は加盟店営業や与信管理業務などを経験後、シンガポールへの海外トレーニーを経て、2011年よりブランドマーケティング部に籍を置き、海外会員向けの施策立案に携わってきた。
これまでインバウンド向けのJCBブランドのプロモーションは行われてきたが、国によりカードの発行形態が異なることもあり、会員への直接的な情報発信が難しく、自助努力の限界を感じていた。「我々の方で積極的な施策を打たなければ、インバウンドの急増というせっかくの好機をみすみす取り逃がしてしまう」。それはプロジェクトメンバー全員の共通認識であった。
訪日促進とカード利用の活性化のためには、日本を訪れた際にJCBブランドの価値を感じてもらうための施策が欠かせない。いかに魅力的な優待やサービスを提供できるかが、大きな鍵となる。と同時に、何よりも重要となるのが、JCBの優待やサービスを訪日外国人に知ってもらうことである。
どのような媒体でどう告知し、情報を発信するのが、最も効果的か。メンバーたちの検討が始まった。

いかに日本の魅力を伝えるか
メンバーたちの
試行錯誤がはじまった

もちろん、各国・地域でのTV・CMやマスメディアへの広告も考えられたが、それには膨大な予算がかかってしまう。限られた予算のなかで最も効果的な告知ツールとは何か。そこで選ばれたのが、旅行者にとっても大きな情報収集手段のひとつとなっているWebサイトの活用だった。しかし、通常のWebサイトを公開してもインパクトはない。日本を訪れるアジアの人たちが興味を抱き、楽しんでもらえることが必須となる。王たちはWebサイトの制作にあたって、いくつかのポイントを抽出した。

①日本文化を面白く伝えること
②JCB会員以外も有益な情報が得られること
③海外でも展開できるよう汎用性・応用性が高いもの
④新しい手法によるインパクトを考えること

王たちの熱い議論がはじまった。こうして固まってきたのが、アニメやマンガ、キャラクターなど2.5次元の世界をコンセプトに据えることだった。まず日本の人気スポットの案内人として12インチのフィギュアを起用し、動画でも静止画でもないシネマグラフ(画像の一部にだけ動きを取り入れたGIFアニメーションのこと)を採用した。一見すると、ばかばかしい世界観に社内でも異論がなかったわけではない。しかし、王たちはアジアからの訪日外国人の目線に立って、さまざまな効果があることを説得していった。今回のWebサイトの制作は、海外会員がターゲットのため、各海外拠点に受け入れられるものかどうかも重要なポイントのひとつだった。
訪日外国人にとって最も訴求力のあるコンテンツは、やはり「東京タワー」など、日本を代表する観光スポットだ。王たちはシンボリックな施設への優待サービスを盛り込んだ施策も同時に開発していった。

2015年3月、Webサイト
「Hello! Japan」誕生

こうして、2015年3月、Webサイト「Hello! Japan」(英語および中国語繁体字の2ヵ国語)が誕生した。2015年12月には韓国語および中国語簡体字が加わり、東京、大阪、京都など主要都市にある代表的な施設への優待サービスガイドとともに、日本の美しい風景や文化を楽しく、面白く紹介する、4ヵ国語によるサイトが立ち上がった。
その後、北海道、山梨、九州などの地域を随時紹介するとともに、海外拠点との連携により、各国のブランドサイトとの連動やバナー広告の出稿など、各国・地域での同時プロモーションも行っている。各国拠点からの反応はさまざまだ。例えば、フィギュアの表情が暗いとか、シチュエーションによっては各国の文化や宗教的な違いから受け入れられないという反応もある。王たちはあらためて、グローバルなビジネスの難しさも痛感している。
王たちはWebサイトの公開とともに、紙媒体での展開もスタート。Webサイトと連動した紙媒体による日本の観光スポットでの「優待ガイド」を制作し、海外拠点や旅行代理店を介して配布している。東京には、「JCB PLAZA TOKYO」を設置し、観光案内だけではなく、海外会員との接点を持つ施設として機能している。

「日本に行くなら、JCB」を
合言葉に
さらなる施策の強化へ

Webサイト「Hello! Japan」がスタートして5年。日本ならではの代表的な観光スポットを紹介するサイトとして一定量のアプローチをしてきたが、訪日外国人に自発的に見に来てもらえるサイトにするにはどうすべきか。インバウンドプロモーションにおける活用方法は引き続き検討する必要があると、王たちは考えている。
今後、アジア圏でのJCBへの認知度アップと利用促進には、Webサイト「Hello! Japan」は欠かせないツールのひとつになっていくはずである。海外ではJCBのブランドロゴは知っていても、そこからすぐさま日本を連想する人は少ない。「日本唯一の国際ブランドカード」、「日本に行くなら、JCB」と言われるような存在にすることが、王たちの最終的なゴールだ。
その日に向けて、挑戦はまだまだ続いている。