海外でのJCBカード発行残高の伸びを受け、
欧州における会員渡航導線が多様化

国際本部の営業部門には、大きく二つのミッションがあります。ひとつは海外でのJCBカード発行の拡大、もうひとつが加盟店網の構築と拡充です。前者を国際営業一部が担い、後者を私が所属する国際営業二部で担っています。現在、JCBは世界でビジネスを展開し、30ヵ所に海外拠点があります。そのなかで、私は欧州地域を担当しています。欧州にはロンドン、パリ、ウィーン、フランクフルト、ローマ、マドリードの6拠点があり、各種戦略の策定や現地にいる駐在員・スタッフによる営業活動の支援、国内部署との橋渡しなどを行っています。
いま、欧州における加盟店拡大に向けた戦略は大きく変わりつつあります。従来は日本国内発行会員による利用が圧倒的に多かったため、日本人向けのガイドブックに載っている観光地やレストランなどと直接加盟店契約を結ぶ方法が主流でした。しかし最近ではツアーから個人旅行への変化などを通じて日本人観光客の渡航導線は多様化しています。また、東アジアや東南アジアでのJCBカード発行残高が飛躍的に伸びており、足元では欧州でのJCBカード利用の3割を日本国外の発行会員が占めるほどになりました。地理的に、より欧州に近いロシアやインドでの会員獲得も活性化しており、カードが使われるお店やシーンのさらなる変化に対応することが急務になっています。

現地金融機関のネットワークを活用し、
加盟店網の構築と拡充を図る

こうした背景を受けて、欧州では独自での加盟店開拓からライセンスモデルへの転換を加速させています。これは現地でアクワイアリングビジネスを行っている金融機関とライセンス契約を結び、彼らが持っているネットワークを活用してJCBの加盟店網の構築・拡充を図るものです。ライセンシーの立ち上げに至るには経済条件のみならず、法令関連やシステム面など、多岐にわたる事項を詰めなければなりません。国や提携先によってシステムやオペレーションの構造が異なるため、JCBのシステムとどのように接続するかなどを国内部署と調整することも必要です。とくに現地の有力プレイヤーとのプロジェクトは数年にわたることも多いですが、前線で粘り強く折衝してくれる欧州拠点のメンバーと一丸となって案件をひとつひとつ推進していくことで、各国でのJCB加盟店網拡充は着実に進展しています。

変動する欧州市場で、リスクと脅威を
チャンスに変える面白さとやりがい

海外ビジネスを展開する以上、現地での環境変化を捉えた対応をとることは不可欠ですが、欧州は法規制の厳格化や現地のプレイヤー同士の合従連衡など、とりわけ環境変化の大きなマーケットであると思います。
直近ではイギリスのEU離脱、いわゆるブレグジットをひかえています。ブレグジットはJCBにとっても大きな環境変化のひとつです。これまでJCBはイギリス当局からの免許をもとに欧州での加盟店事業を行ってきたため、欧州大陸側でも体制を整備する必要に迫られました。2016年にこの問題が浮上して以来、私はこの対応にあたってきました。最終的にはフランスに現地法人を設立したうえで当局免許を取得するに至りましたが、その間、大使館との折衝や、社内外の法務・税務・会計などの専門家との協業など、多くの経験をしました。国際本部での面白さと難しさはやはり、このようなダイナミックな動きでのなかでの業務や、国内と異なる条件下でいかにビジネスを進めていくかにあると思います。リスクがあるからこそ、それを乗り越えてチャンスに変える面白さと難しさがあり、そこに大きなやりがいを感じています。
私は現在、国際営業二部に着任して4年目になりますが、自分なりに成長を遂げてきたと思います。その理由のひとつが、若手に任される仕事の大きさです。ブレグジット対応という一大プロジェクトを任されたことをはじめ、若手でもどんどん責任ある業務を任され、経験を積みスキルアップすることができます。もちろん、壁に突き当たったり失敗することもありますが、それを温かく見守り、サポートしてくれる環境があります。今後も海外駐在を含めた新たな環境下でのチャレンジや変化を厭わず、さらなるキャリアアップを図っていきたいです。