日本発の国際カードブランドの
価値を高めるために、
待ち焦がれたビジネスチャンスに挑む

「ブランドホルダー」と「イシュア」「アクワイアラ」という3つの事業の融合による戦略を展開するJCBにとって、
急増するインバウンド(訪日外国人)需要は絶好のビジネスチャンスである。
2022年10月、コロナ禍の収束とともに入国規制が大幅緩和され、再びインバウンド市場のドアが開かれた。
チャンスを待ち焦がれていたメンバーたちは史上最大級ともいえるインバウンド施策を続けざまにドライブしていった。
その想いを、その先に見据えている未来戦略を、若手メンバーの声とともに紹介しよう。

櫻田 壮太郎Sotaro Sakurada

2020年入社
国際統括部 海外マーケティンググループ

所属部署・役職は取材当時のものです

2022年10月、コロナ禍の収束とともに、
再びインバウンド市場のドアが開かれた

JCBにおいて、急増するインバウンド(訪日外国人)に向けての本格的な強化施策がキックオフしたのは2014年のこと。Webサイトをはじめ海外向けブランドプロモーションを充実させ、国内においても販売促進施策を次々と立ち上げた。同年には1,300万人だった訪日外国人は2019年には3,200万人と倍以上に伸び、誰もが今後も需要は順調に伸びると考えていた。
その矢先のことである。新型コロナウイルス感染症拡大という世界的な事態が発生し、訪日外国人数は激減。目前にあったマーケットは一気に縮小する……。
「もちろん、施策に取り組んでいたメンバーたちにとってはショックだったと思います。しかし、私たちはこの危機を次なる挑戦に向けた準備期間だと考えたのです。」
このように話す櫻田がJCBに入社してインバウンド施策を担当するグループに配属されたのは2020年春。まさにコロナ禍が拡大したタイミングだ。櫻田たちは、改めてインバウンド市場の分析に取り組んだ。そもそも日本に訪れる外国人はどのようなタイプ・層なのか?訪日前の情報収集経路は?滞在している間の行動は?外部から収集した情報も含めてさまざまな視点から議論を重ねた。それはマーケティングの原点に立ち戻って、戦略を練り直す絶好の機会だった。
一方で海外会員向けWebサイト「JCB Special Offers」のリニューアルも行った。必要な情報を速やかに見つけられるように工夫し、自分たちで描き出したターゲット層に向けて魅力あるコンテンツを充実させた。そして2022年10月、コロナ禍の収束とともに入国規制が大幅に緩和され、再びインバウンド市場のドアが開かれた。
「いよいよだな、と。ワクワクドキドキする気持ちでしたね。」
さあ、2年半にわたってしたためてきた戦略の真価が試されるときがきたのだ。

インバウンド需要の第一波は
どう動くのか?
史上最大級規模の
プロモーションを展開

インバウンドの規制緩和から3ヵ月後の2023年1月、JCBは「10%キャッシュバック」キャンペーンをスタートした。5,000円以上の決済を対象とした、海外カード会員向けのプロモーションであり、インバウンド向けということではJCBでも史上最大規模の施策だ。
「この第一弾となる施策は“モノ消費”にターゲットを絞ったものです。何年かぶりに日本を訪れた外国人の行動を想定したとき、まず大都市圏での“モノ”へのニーズが高まると考えたのです。」
そのニーズに向けて、スピーディーにダイレクトに届くものとして櫻田たちが選択したのが「キャッシュバック」という施策だった。実施には周到な準備が必要となる。需要のシミュレーション、利用条件やキャッシュバック率の検討、システムの構築、海外・国内での告知……。
1月16日、キャンペーンがスタート。急速なインバウンド需要回復とも相まって、実績は想定を上回る勢いで伸びていった。取扱高や利用者数に加えて、新規入会者数も好調だ。3ヵ月のキャンペーンが終了した2023年4月、海外の支店などから「日本を訪れるならJCB」という認知度が高まったという嬉しい評価も届いた。櫻田たちメンバーは「よし!」という手応えと、ほっと力が抜けるような安堵感を味わった。

次の需要は、“地方”דコト消費”
に変化する
と予測し、冬の北海道で
JCBならではの
エリア限定キャンペーン

しかし、本番はまだまだこれからだ。櫻田たちは、キャッシュバックキャンペーンの成果を詳細に分析し、そこから得た学びを活かして次なる打ち手を企画していった。
「第1弾の施策では大都市圏でのモノ消費が高まると想定しましたが、1年も過ぎればその熱も冷めてしまうはず。そこで次の施策は地方にターゲットエリアを設定し、非日常的な体験を含んだコト消費に焦点を当てたのです。」
時期は2023~24年の秋冬。第1弾施策のデータなどをもとに、主要マーケットである台湾とタイのJCB会員をメインターゲットとし、冬季にもっとも需要が高い北海道をエリアとして設定した。こうして動き出した北海道エリア限定のプロモーションが「The heart of HOKKAIDO」だ。北海道の主要4エリア(札幌、函館、ニセコ、小樽)の全34加盟店、70超の店舗を対象に、加盟店ごとに冬の北海道の魅力を体感できる優待サービスを提供する。「ブランドホルダー」×「アクワイアラ」×「イシュア」という総合的なビジネスモデルを有するJCBだからこそ実現できる施策であり、過去最大級ともいえるエリア限定プロモーションだ。
それだけに櫻田たちはいくつもの「初」にチャレンジしなければならなかった。なによりもコロナ禍後の訪日外国人の行動をどう読むかは、いくら分析を重ねたとはいえ未知の世界だ。櫻田は、プランニングのプロセスを「ちょっと先の未来を想像する」という言葉で表現する。メンバーたちは大規模プロジェクトをドライブしていく緊張感ともに、自分たちで想定した未来が果たして現実のものとなるのかというワクワク感を楽しんだ。
こうして2023年10月、「The heart of HOKKAIDO」がスタート。キャンペーンは現在も継続中だが、メンバーたちの想定は的中し、第1弾施策と同様に実績は好調に推移している。

国際カードブランドとしての価値を
いかに高めていくか?
グローバル展開を
見据えたインバウンド施策

「The heart of HOKKAIDO」では、櫻田はもうひとつ新しい経験を積んだ。
「今回の施策ではプロジェクトリーダーを任されたのです。企画立案だけでなく、加盟店に対応する北海道支社との連携、告知など海外拠点との協議など、さまざまな場面で自分が前面に立つことになりました。実際はワクワクよりもドキドキ感の方が大きかったように思いますが、入社4年目の自分にとってかけがえのない経験です。」
すでに訪日外国人数はコロナ前の水準を上回るなど、国内のインバウンド市場は順調に回復している。こうした需要を着実に取り込んでいくために、JCBでは今後も継続した取り組みを展開していく。もちろん、インバウンド施策の狙いは、国内需要の取り込みにとどまるものではない。JCBの強みである加盟店ネットワークをフルに活用することで日本の魅力を世界へ発信し、日本発唯一の国際カードブランドとしての価値を高めていくことを見据えている。そのためには今後、海外拠点との連携がますます重要になる。さて、櫻田はこれからどんなワクワクを体感することになるのだろうか。
このようなグローバル展開のなか、櫻田は新しい挑戦に踏み出そうとしている。2024年4月、海外の主要マーケットである台湾の拠点へと異動するのだ。
「海外勤務は入社前からの目標です。でも、こんなに早くチャンスが来るとは想像もしていませんでした。」
さて、JCBのグローバルビジネスのまっただ中に飛び込んでいく櫻田は、これからどんなワクワクを体感するのだろうか。