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GLOBAL
JCBの海外戦略
1981年、日本発唯一の国際カードブランドとして、本格的な海外展開をスタートさせたJCB。
以来、世界中の大手金融機関だけではなく、ローカル決済ネットワークや他の国際カードブランドと提携を行い、さまざまな決済シーンで安心して利用できる加盟店ネットワークの構築・拡大を図ってきた。2010年半ば以降、海外カード会員数も大幅に増加。現在、海外カード会員数は約3,200万人(2020年9月時点)に達している。
決済のデジタル化、モバイル化が急速に進むなかで、日本発唯一の国際カードブランドとして、今後、JCBはどのような海外戦略を描いているのか、海外を舞台にJCB社員たちはどのような役割を担っているのか、海外事業を統括する金子佳喜国際本部長に話を聞いた。
JCBの海外戦略
常務執行役員
国際本部長

金子 佳喜

Yoshiki Kaneko

※所属部署・役職は取材当時のものです
海外戦略は、次なるステージへ。アジア市場をてこに世界へ挑む。

-まずは、現在のJCBが描いている海外戦略の方針についてお聞かせください。

JCBは、1981年、日本発唯一の国際カードブランドとして本格的な海外展開をスタートさせました。その当時は、国内のJCBカード会員の方が旅行やビジネスで海外渡航する際に、ホテルやショッピングなどでJCBカードを利用できる環境を整えることが主要なミッションでした。さらに、海外旅行をサポートするJCB会員専用の海外サービス窓口「JCBプラザ」を世界各所に展開、「JCBプラザ ラウンジ」を世界主要都市に設置するなど、会員向けのブランドサービスの充実化にも努めてきました。こうした取り組みを通じて、JCBの価値を高め、JCBカードが利用可能な加盟店ネットワークの構築・拡大を行ってきました。
海外展開の第一歩が国内カード会員に向けた海外でのサービス拡充であったとすれば、現在は次なるステージとして、海外カード会員の拡大期に移行しています。実際、この5年ほどの間に海外の会員数は2倍以上に増加し、2020年9月には約3,200万人に達しました。なかでもアジア地域や新興国の著しい経済成長を背景に、中国、韓国、台湾などの一部の国・地域に加え、インドネシア、タイ、ベトナムなどASEAN諸国を中心に提携先を増やすことで、海外カード会員や加盟店ネットワークの拡大に注力しています。こうしたアジア市場での基盤強化をてことして、欧米地域での加盟店ネットワークのさらなる拡大を目指しています。
また、さらなる成長市場として、ロシア・インド・サウジアラビアなどでも活動を加速していて、2021年にはサウジアラビアの首都リヤドにJCBのオフィスを設置し、加盟店開拓に向けた動きを行っていく予定です。
また、規模の拡大だけではなく、「質」の面においても、他の国際カードブランドと差別化を図っていく必要があります。近年、決済の世界で起きているテクノロジーの進化もふまえ、日本のブランドとして、JCBならではの品質の高さを強みに、国や地域にあわせたサービスを展開していきます。

海外カード会員数 2020年9月末時点
会員数グラフ

-アジアでの会員数の増加やアジアに注力する理由・背景とはどのようなものなのでしょうか?

まずはいうまでもなく、経済の発展・拡大が背景にあります。経済が成長するなかで可処分所得が増え、購買力が高まり、白物家電や自動車などの耐久消費財を購入する人が多くなり、各都市にはショッピングモールが作られ、買い物や食事を楽しむようになります。当然、その支払いにクレジットカードやデビットカードを使う機会が増えてきます。つまり、アジア諸国の多くがキャッシュレス社会へとステージを移しつつあるということです。その際、ひとつの指標となるのがひとりあたりのGDPです。例えば、日本の一人あたりのGDPは約4万ドル。中国が9,000ドル余り、タイも7,000ドルを超えています。私たちは、GDPが3,000ドルを超えると可処分所得が増え、購買力が高まる中間層として区分し、ターゲットとします。そうした指標をもとにマーケットを選定し、海外拠点の設置を進めています。
そして、もうひとつの注目点が人口です。例えば、インドの人口は12億人を超えています。新興国と言われる国や地域は、若い世代が多く、今後消費がさらに活性化していくはずです。そうした意味で、アジアはカードビジネスにとっても、大きな可能性のあるマーケットになっているのです。
最後に、テクノロジーの進展とスマートフォンの普及です。ASEAN地域全域で見ると、銀行口座の保有率が40%程度に対して、携帯電話の普及率は一部の地域を除き約100%です。つまり、携帯電話やスマートフォンが生活インフラとなり、そのなかでのサービス需要が拡大しているということです。とくにスマートフォンを活用した2次元コード決済が急速に普及しています。皆さんも、コンビニエンスストアなどで見る機会が増えているかと思います。ASEAN諸国においても、各国内で2次元コード決済が普及してきており、金融・決済のインフラとなりつつあるのです。
経済発展とともに、こうしたデジタル化やモバイル化が急速に進展しているのがASEAN地域の特徴で、この流れは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、さらに加速していると言えます。また、日本と同様に、どの国・地域においても新しい生活様式への対応が求められ、EC取引・非対面取引が急増し、それに伴いキャッシュレスでの取り引きが拡大しています。JCBにおいても、このチャンスをつかむべく、EC取引分野での取り組みの強化、テクノロジーを活用した各種サービスの拡充に取り組んでいます。

日本発ブランドの信頼感を武器に、質の高いサービスの提供で差別化を図る。

-アジアを中心とした海外戦略のなかで、JCBの強みとは何でしょうか?

ぜひ強調しておきたいことは、世界で通用する国際カードブランドのなかで、日本で生まれたブランドはJCBただひとつということです。「日本発かつ唯一無二」。ここにまず、アジア市場におけるJCB最大の優位性があります。
その理由は、アジア諸国において、自動車や家電、日本食など、日本の製品やサービス、文化に対する信頼度が極めて高いこと。そして日本の「おもてなし精神」に対する評価が高いことです。こうした日本に対する高評価・好印象は、JCBがアジアで展開するにあたっても、大きな武器になっています。
もうひとつの強みは、他の国際カードブランドとは異なり、カードブランドでありながら、イシュア(カード発行事業)とアクワイアラ(加盟店事業)のふたつの機能も保有しており、本質的な総合力を発揮できる力を持っていることです。


-その強みをどのように活かそうと考えていますか?

JCBには自らカードを発行してきた経験とノウハウがあります。例えば、アジア諸国でカード発行ビジネスを展開する場合、エアラインとの提携カードやキャラクターを券面に用いたカードなど、さまざまな商品を企画・発行するノウハウを活かすことができます。
また、日本国内におけるアクワイアラとしての知見を活かした加盟店との連携により、国内外のショップやレストランで、さまざまな優待や割引を提供しています。最近は、eコマース領域へのビジネスが広がり、サービスの強化を図っています。
さらに、前述の「JCBプラザ」や「JCBプラザ ラウンジ」は、日本の「おもてなし精神」を体験出来るリアルな場所を提供するサービスで、例えばJCB会員の方が、渡航される際には「JCBプラザ」のサービスを体験できます。日本では、東京と京都に「JCBプラザ ラウンジ」が存在します。ここに「T&E(Travel & Entertainment)カードブランド」としてのJCBの優位性があります。
質の高い付帯サービスの提供を通じて、プレミアムセクターと呼ばれる富裕層のマーケットにも力を入れ、会員数の拡大といった量的拡大のみならず、利用頻度や利用額の高い層への質的な拡大も目指していきたいと考えています。

各国の金融機関を交渉先に、ダイナミックなビジネスに挑戦。

-海外における具体的なビジネスの進め方をお聞かせください。

JCBの海外展開におけるミッションは、カード会員の拡大と加盟店ネットワークの拡充です。そして、このミッションを達成するためのビジネスモデルが「ライセンスモデル」と「アライアンスモデル」です。
「ライセンスモデル」は、海外の金融機関などとライセンス契約を締結し、JCBカードを発行してもらうとともに、加盟店の拡充を図ろうというものです。海外駐在員や海外拠点の現地スタッフ、あるいは国際本部の営業部隊が出張し、JCBが国内で培ってきたカード発行や加盟店ビジネスの経験とノウハウを活かし、金融機関との提携交渉にあたります。さまざまな商品企画や戦略提案を行うことで、ライセンス契約の成約に結びつけていきます。ベトナム・インドネシアではこのモデルで展開しています。
もうひとつの「アライアンスモデル」は、インドやロシアで行なっている、その国のペイメントネットワーク保有者とJCBが提携するモデルです。例えば、インドには「RuPay(ルペイ)」という国内ペイメントブランドが存在しますが、この国内ブランドとJCBが提携することで、インド国内では「RuPay」のネットワーク、国外では「JCB」のネットワークが利用されるという仕組みです。JCBにとっては、その国の加盟店網が一気に拡充できることが最大のメリットになります。このモデルの場合は、その国の中央銀行など金融機関を束ねている大きなネットワーク保有者が提携の交渉先となります。
国や地域ごとに、ライセンスモデルやアライアンスモデル、あるいはこの2つのモデルを組みあわせて取り組んでいくのが、JCBの海外ビジネスの特徴の一つでもあります。
またここでひとつ言及したいことは、契約は入り口であり、そこからの戦略提案がより重要と我々は考えています。国や地域ごとに異なる状況下のなか、定量的な要因分析もふまえ、どのようなキャンペーンを打つべきか、どのようなリスク対応が必要かを、提携先と一緒に考え、提案するノウハウがあるということもJCBの強みの一つと考えています。この付加価値は無形の差別化になっていると自負しています。


-海外展開を進めるにあたり、どのような資質、能力、経験をもった人材を求めていますか?

現地の金融機関や加盟店との交渉、現地スタッフとのコミュニケーションなど、語学力があることに越したことはありませんが、決して必須条件ではありません。それ以上に、カードビジネスに精通していることが大切です。交渉窓口となる担当者も、カードやペイメントビジネスのプロフェッショナルです。その意味では、国内カード業務や加盟店業務を経験し知識を養うことは、グローバルビジネスを進めるうえで重要になります。もちろん、JCBには海外トレーニー制度もあり、若いうちから海外経験ができる環境も整え、海外で活躍できる人材の育成にも力を入れています。
いざ海外駐在となると、当然上司のサポートはありますが、JCBの代表として先方との交渉の席に座り、折衝します。海外マーケットの拡大や質を高めていくというダイナミズムのあるミッションに対し、若手からチャレンジをしてもらいたいと考えています。
我々のビジネスは世界をフィールドとしており、各国においては文化も価値観も多種多様です。また、近年はテクノロジーの進化により、世界の決済市場は急速な変化の真っ只中です。そんな多様性や環境の変化を「面白い!」と思えるか。その好奇心とチャレンジ精神が何よりも大切です。未知の世界を知ることに貪欲で、つねに新しいことに前向きに挑戦できる人。これからのJCBは、そんな人が大いに活躍できる舞台だと思います。


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