JCBの海外戦略
OVERSEAS BUSIINESS

1981年、日本発唯一の国際カードブランドとして、本格的な海外展開をスタートさせたJCB。
以来、世界中の大手金融機関だけではなく、ローカル決済ネットワークや他の国際カードブランドと提携を行い、さまざまなシーンで安心して利用できる加盟店ネットワークの構築に力を注いできた。
2017年3月末時点で、海外カード会員数は2,408万人を誇る。日本発唯一の国際カードブランドホルダーとして、今後、JCBはどのような海外戦略を描いていくのか、海外事業を統括する今田公久国際本部長に話を聞いた。
今田 公久

Kimihisa Imada

常務執行役員 国際本部長
海外展開は、次なるステージへ。アジア市場を中心に世界に挑む。

-まずは現在のJCBが描いている海外戦略全般の方向性についてお聞かせください。

JCBは、1981年、日本発唯一の国際カードブランドとして、本格的な海外展開をスタートさせました。1981年当時の海外戦略は、日本国内のJCBカード会員の方が旅行やビジネスで海外に渡航する際に、ホテルやショッピングなどでJCBカードをご利用いただける環境を整えることが主要なミッションでした。さらに世界各所に展開し、海外旅行をサポートするJCB会員専用海外サービス窓口「JCBプラザ」、および世界主要都市に設置している「JCBプラザ ラウンジ」など、会員向けのブランドサービスの充実化にも努めてきました。
こうした取り組みを通じて、JCBカードが利用可能な加盟店ネットワークの構築・拡大を行ってきました。
以前の海外戦略が国内カード会員向けであったとすれば、現在の海外戦略の重点のひとつは海外カード会員の拡大にあります。実際、ここ5年間で海外カード会員数は2倍以上に増加し、2,408万人に達しています。特にアジア地域や新興国の経済の成長は著しく、インドネシア、タイ、ベトナムなどASEAN諸国を中心に提携先の銀行を増やすことで、海外カード会員数や加盟店ネットワークの拡大に注力しています。次の成長市場として、ロシア、インドなどにおいても活動を加速しています。
また、規模の拡大だけではなく、「質」の面で他の国際カードブランドと差別化をしていく必要があります。近年、決済の世界で起きているテクノロジーの進化もふまえ、日本ブランドとして、JCBならではの品質の高さを強みに、国や地域に合わせたサービスを展開していきます。

海外カード会員数・加盟店数・取扱高 2017年3月末時点
会員数グラフ 加盟店数グラフ 取扱高グラフ

-アジアにおける会員数の増加やアジアに注力する理由・背景とはどのようなものなのでしょうか?

まず言うまでもなく、経済の発展・拡大が背景にあります。経済が成長するなかで可処分所得が増え、購買力が高まり、白物家電や自動車などの耐久消費財を買うようになります。
また各都市にはショッピングモールも作られ、買い物や食事を楽しむようになります。当然、その支払いにクレジットカードやデビットカードを使う機会が増えてきます。つまり、アジア諸国の多くがキャッシュレス社会へとステージを移しつつあるということです。
その際、ひとつの目安となるのが一人あたりのGDPです。例えば、日本の一人あたりのGDPは3万ドルを超えています。中国が8,000ドル余り。タイも5,000ドルを超えています。私たちとしては、3,000ドルを超えると、可処分所得が増え、購買力が高まるチャンスと捉えています。そうした地域を中心に、海外拠点の設置を進めています。そしてもうひとつの注目点が人口です。例えば、インドは12億人を超える人口があります。アジアの新興国と言われる国は、人口も若い世代が多く、消費がさらに活性化していくはずです。そうした意味で、アジアはカードビジネスにとっても、大きなマーケットになっているのです。

日本発ブランドへの信頼感を武器に、質の高いサービスの提供で差別化を図る。

-アジアを中心とした海外戦略のなかで、JCBの強みとは何でしょうか?

まず学生の皆さんにぜひ認識してもらいたいのが、世界で通用する国際カードブランドのうち、日本で生まれたブランドはJCBただひとつということです。「日本発かつ唯一」。ここにまず、アジア市場におけるJCBの最大の優位性があります。
その理由は、アジア諸国において、自動車や家電、日本食など日本の製品やサービス、文化に対する信頼度がきわめて高いこと。そして日本の「おもてなし精神」に対する高い評価です。こうした日本に対する高評価・好印象は、JCBがアジアで展開するにあたっても大きな武器になっています。
もうひとつの強みは、VISAやMastercardとは異なり、カードブランドでありながら、イシュア(カード発行事業)とアクワイアラ(加盟店事業)のふたつの機能も保有していることです。

-その強みをどのように活かそうと考えていますか?

JCBには自らカードを発行してきた経験とノウハウがあります。例えば、アジア諸国でカード発行ビジネスを展開する場合、エアラインとの提携カードやキャラクターを券面に用いたカードなど、さまざまな商品を企画し発行するノウハウを活かすことができます。
また、日本国内におけるアクワイアラとしての知見を活かした加盟店との連携により、国内外のショップやレストランで、さまざまな優待やディスカウントを提供しています。さらに、前述の「JCBプラザ」「JCBプラザラウンジ」は、日本の「おもてなし」を体現したサービスであり、例えば、アジア各国におけるJCB会員のみなさまも自国外へ渡航される際は「JCBプラザ」のサービスを体験いただけます。日本では、東京と京都にも「JCBプラザ ラウンジ」が存在します。ここに「T&E(Travel&Entertainment)カードブランド」としてのJCBの優位性があります。質の高い付帯サービスの提供を通し、プレミアムセクターと呼ばれる富裕層のマーケットにも力を入れ、会員数の拡大といった量的拡大のみならず、利用頻度や利用額の高い層への質的な拡大も目指していきたいと考えています。

各国の金融機関を交渉先に、ダイナミックなビジネスに挑戦。

-海外展開にあたっての具体的なビジネスの進め方をお聞かせください。

海外におけるカード会員の拡大や加盟店ネットワークの拡充には、大きく二つのビジネスモデルがあります。ひとつは「ライセンスモデル」といわれるもので、海外の金融機関とライセンス契約を締結し、JCBカードを発行してもらうとともに、加盟店の拡大も図ってもらうものです。
ライセンスモデルの場合は、海外駐在員や海外拠点の現地スタッフ、あるいは国際本部の営業部隊が出張し、個々の金融機関にアプローチし、交渉にあたります。ここでJCBが培ってきたカード発行や加盟店ビジネスの経験とノウハウを活かし、さまざまな商品企画や戦略提案を行うことで、ライセンス契約の成約に結び付けていきます。
もうひとつが「アライアンスモデル」で、その国の国内ペイメントネットワーク保有者とJCBが提携するモデルです。例えば、インドにはRupay(ルペイ)という国内ペイメントブランドが存在しますが、この国内ブランドとJCBが提携することで、インド国内ではルペイのネットワークを使い、国外ではJCBのネットワークが利用されるという仕組みです。このモデルのJCBにとってのメリットは、その国の加盟店網が一気に拡大できることです。アライアンスモデルの場合は、その国の中央銀行など金融機関を束ねているような大きなネットワーク保有者が交渉先となります。
国や地域ごとにライセンスモデル、アライアンスモデルという複数のモデルを組み合わせて取り組んでいるのが、JCBの海外ビジネスの特徴のひとつです。



-今後の海外戦略という観点から、どのような資質、能力、経験をもった人材を求めていますか?

現地の金融機関や加盟店との交渉、ナショナルスタッフとのコミュニケーションなど、語学力があるにこしたことはありませんが、決して必須条件ではありません。それ以上にカードビジネスに精通していることが必須です。銀行との交渉窓口となる担当者も、カードやペイメントビジネスのプロフェッショナルです。その意味では、国内でカード業務や加盟店業務を経験し知識をつけることは、グローバルビジネスを進めるうえで重要になります。もちろん、JCBには海外トレーニー制度もあり、若いうちから海外経験をできる環境を整えています。
私たちのビジネスは世界をフィールドとしており、各国においては文化も多種多様です。また近年はテクノロジーの進化が進んでおり、世界の決済環境が急速に変化している時代です。そんな多様性や環境変化を「おもしろい」と思えるか。好奇心とチャレンジ精神は何よりも大切です。未知の世界を知ることに貪欲で、つねに新しいことに前向きに挑戦できる人。これからのJCBは、そんな人が大いに活躍できる舞台だと思います。

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